日本中央税理士法人/株式会社日本中央研修会

日本中央税理士法人/株式会社日本中央研修会のダントツ不動産ニュース

法人が不動産を買う時の落とし穴

1.法人所有の不動産を法人が購入する場合

今回は法人が転売目的で別の法人が所有する不動産を購入する場合の注意点をお話します。

前号同様、不動産の形態ではなく、その法人そのもの(株式)をM&Aで購入する場合についてです。

2.子会社を合併して売却すると

購入した法人(購入後は子会社)の簿価の財務状況は資産10億円、負債4億円、純資産6億円とします。ただし、この不動産の時価は12億円、時価純資産は8億円とし、子会社の購入額も8億円とします。

子会社の貸借対照表
資産
簿価 10億円
時価 12億円
負債
簿価、時価 4億円
純資産
簿価 6億円
時価 8億円

この不動産を14億円で転売するとします。簿価は10億なので、差引き4億円の利益です。しかし、実は儲かっていません。仲介手数料を3%の4,200万円、法人税等の実質的な税率40%とすると法人税等が1.8億円かかり、さらに税引き後の手取額から負債も返済するため、お金の出入りとしては下記のようになります。

支出額 入金額
子会社購入額8億円
売却金額14億円
負債返済額4億円
仲介手数料4,200万円
法人税等1.8億
→ 2,200万円の損失

このような計算になる理由は子会社を合併したからです。合併した場合、子会社の購入額の8億円はお金の支出はあるのに、経費として計上できないからです。不動産だけに着目して計算したら儲かるはずだったのに・・・、ということにもなりかねません。

株式の形態で不動産を購入してきたが、その売却益を親会社で計上したい場合、合併するならば十分にシュミレーションしなければなりません。

3.代物弁済という方法もある

子会社を購入する際、株式とその子会社に対する債権(子会社にとっての負債、上記2では4億円)も一緒に購入することがあります。つまり、子会社に対する債権者が第三者から親会社に変わるのです。その場合は子会社に対する債権をお金でなく、不動産で返済してもらう代物弁済という方法を採用することもできます。

ここでは不動産の時価12億円>負債4億円なので、代物弁済で全ての不動産を取得することはできませんが、同等の金額である場合には全ての不動産を取得することができます。ただし、この方法を採用する場合は不動産取得税、含み益に対する法人税等がかかるので、それも加味して考えなければなりません。

4.子会社が不動産を売却して配当を受けると

この場合は、子会社の解散決議をしてから、不動産の売却をします(前号参照)。

5.どの方法が一番いいのか

不動産売却益を親会社側で計上したいならば、不動産の名義を親会社名義に変更するしかありません。よって、合併するか代物弁済で取得するということになります。そうではなく、不動産の売却資金を取得できればいいのであれば、上記4のように子会社から配当を受ける方法もあります。

全ての会社にとって必ず一番いい方法はありません。親会社側の意向と適正なシュミレーションをして意思決定しないと、思わぬ落とし穴に落ちることがあるので注意が必要です。


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