日本中央税理士法人/株式会社日本中央研修会
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Vol.10 (2003/7/8)

新規融資で留保金課税が止まる?


1.留保金課税とは

留保金課税とは、同族会社の一定額以上の内部留保額に対して通常の法人税に追加して税金を課税する制度です。

2.今年の税制改正で変わったこと

この制度について、今年の税制改正での変更点は次の2つがあります。

  1. この制度の適用対象となる同族会社の判定

    従来は同族株主の持株比率が50%以上の場合に適用対象となりましたが、今年の改正で50%超に変更されました。つまり、持株比率が51%の会社は1%を他の株主等に贈与、譲渡すれば、留保金課税が回避できるのです。

  2. 財務内容による判定

    同族株主の持株比率が50%超の会社でも下記の算式による前期末の自己資本比率が50%以下ならば、留保金課税を回避できます。

    資本金+資本積立金額+利益積立金額+同族関係者からの借入金

    総資産

    ここでいう資本積立金額と利益積立金額は貸借対照表に計上されている金額ではなく、 法人税の別表五(一)に計上されている金額ですので注意が必要です(利益積立金額は別表五(一)の31-5の金額、資本積立金額は別表五(一)の35-4の金額です)。

  3. まとめ
    持株割合
    50%以下
    50%超
    自己資本比率
    50% 以下
    適用なし
    適用なし
    50%超
    適用なし
    適用あり

    つまり、自己資本比率と持株割合とが共に50%超の会社のみが留保金課税の対象となるのです。

3.期末に外部から融資を受けるとどうなる

A社の貸借対照表で考えてみましょう。

貸借対照表(19期、15/9/30現在)
資産 2,000 社長借入金 100
その他負債 900
資本金 1,000

現状の自己資本比率は(1,000+100)÷2,000=55%のため、翌20期においては留保金課税の適用があります。

A社の20期(15/10/1〜16/9/30)は非常に利益が上がる計画がほぼ決まり、このままだと20期は多額の留保金課税を受けそうです。そこで、19期末に銀行から新規の借入れを500行いました。その結果の貸借対照表は下記のとおりです。

貸借対照表(19期、15/9/30現在)
資産 2,500 社長借入金 100
その他負債 900
銀行借入金 500
資本金 1,000

その結果、自己資本比率は(1,000+100)÷2,500=44%となり、20期は多額の利益が計上されても、留保金課税を免れることができるのです。

この融資を受ける際の注意点は、あくまでも判定は前期末の自己資本比率ということです。翌期の状況を前期末の段階で判定し、融資を受けなければならないのです。

4.この規定の適用年度

この規定は平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されます。