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Vol.11 (2003/7/15)

役員借入金、意識していますか?


同族会社では、オーナー社長が会社に多額の個人的資金を貸付けたままになっていることがよくあります。今回は、このような「役員借入金」にかかるデメリットを、相続税、法人税、個人所得税の観点から検証したうえで、その対策について考えていきます。

1.相続税の観点からのデメリット

「役員借入金」はオーナー社長の相続が発生した場合には相続財産を構成します。しかし、この「役員借入金」は相続税法上額面のまま評価されるため、評価を圧縮する対策を行うことが不可能です。また通常「役員借入金」は返済される可能性が低いため、相続により取得したものにとっては価値の低い財産になってしまうとともに、納税資金不足に陥る危険性を孕んでいます。

2.法人税の観点からのデメリット

前回のJCAニュースでもお伝えしたとおり、平成15年度税制改正で、資本金1億円以下の同族会社については、その事業年度の前事業年度終了時の自己資本比率が50%以下の場合には、留保金課税が停止されることになりました。自己資本比率は、自己資本÷総資産で計算されますが、自己資本にはこの「役員借入金」が含まれます。

したがって「役員借入金」の金額が大きい場合には、自己資本比率要件を満たすことができずに不必要な留保金課税を受けてしまう可能性があります。

3.個人所得税の観点からのデメリット

同族会社においては、資金繰りの関係で、いったんオーナー社長へ役員報酬として支払った資金を、「役員借入金」により会社に資金バックしているケースをよく見受けます。会社からオーナー社長への返済がない場合には、役員報酬支払にかかる源泉所得税がムダになってしまいます。

4.「役員借入金」の減少対策

  1. DES(デット・エクイティ・スワップ)の活用

    「役員借入金」を「資本金」に振替えることにより、オーナー社長の財産は「貸付金」から「株式」に組替り、評価圧縮が可能になります。その方法として、「役員借入金」を現物出資するDESは、資金移動が不要であるとともに増資手続きも簡略なため有効な手段です。

  2. 債務免除の活用

    赤字決算が続く同族会社においては、過年度の「繰越欠損金」が累積していることが予想されます。この「繰越欠損金」を利用することにより、債務免除益課税を回避しつつ、「役員借入金」を減少させることが可能となります。ただし、場合によっては贈与税や留保金課税を受ける場合がありますので注意が必要です。

  3. 役員報酬」の「役員借入金」返済への組替え

    「役員報酬」を減額し、その差額を「役員借入金」の返済原資に充てる方法が考えられます。この場合、ムダな源泉所得税や社会保険料の負担が抑えられますので、オーナー社長の実質手取額は増加します。 普段あまり意識されない「役員借入金」ですが、一度「役員借入金」対策をご検討されてみてはいかがでしょうか?