日本中央税理士法人/株式会社日本中央研修会
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Vol.14 (2003/8/8)

保証債務の履行と自己株式の買取り


1.保証債務履行のために不動産等を譲渡すると

個人が連帯保証人になっており、本来の債務者である法人等が借入金の返済不能に陥った場合、保証人が代わって借入金を返済しなければなりません。

この返済資金に充てるため、不動産等を売却すると、原則として保証債務に充当した金額は譲渡所得税が非課税になります。

2.非課税になるためには

ただ、どんな場合でも非課税になるわけではなく、以下の要件等を満たした場合にのみ非課税になるわけです。

3.確定申告終了後に求償権が行使不能になると

確定申告をする時点では、その会社に対する求償権が行使不能の状態になくても、その後、行使不能の状態になった時は、行使不能の状態になったときから2月以内に、所得税の取り戻しの申請(更正の請求)を行うことができます。

4.従来の認識との違い

従来はその本来の債務者の会社が事業閉鎖や倒産等の場合でない限り、この非課税の特例は使えないとの認識がありました。税制改正があった訳ではありませんが、国税庁が中小企業庁に対して出した回答によって明確化されたわけです。

5.保証債務履行のために自己株式を譲渡すると

代表者が保証債務のために自分の会社に自己株式を売却するとどうなるでしょう。

自己株式を売ることは形式上は売買ですが、税務上は配当とみなされます。つまり、配当所得として他の所得と合算されて累進税率で総合課税を受けることになります。

税務上は配当所得なのですが、保証債務の履行のための譲渡があった場合の非課税規定の適用をすることはできるのです。

6.どのように計算するのか

代表者が保証債務100を支払うために、自己株式を自分の会社に100で売却したとします。

売却した株式に関して、1株あたりで計算した場合、売却金額が100、元々の払込金額が80とすれば、差額の20が配当所得として課税されることになるわけです。しかし、この20の配当については非課税規定が使えるのです

7.今年の改正

今までは、自己株式の買取りは定時の株主総会でしか決議できませんでした。しかし、今回の国会で、定款にその旨を定めておけば取締役会の決議でも買取りが可能になりました。施行日はまだ決まっておりませんが、弾力的に活用しやすくなったことは間違いありません。

8.どんな場合に使えるのか

保証債務を返済しなければならないが、預金は使いたくないし、不動産も売却したくない。そんな場合にはこの方法が有効ですので、是非、お困りの方はお考えになるといいと思います。