日本中央税理士法人/株式会社日本中央研修会
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Vol.17 (2003/9/5)

債務超過の解消と借地権の無償設定


1.こんな会社は債務超過を解消できる

A社はここ数年赤字続きのため債務超過の状態でしたが、今期からは本業自体は黒字に転換する見込みです。しかし、過去の赤字が重く、今期だけでは債務超過を解消できず、銀行融資もままならない状況です。

今回のスキームは、こんな会社のケースで、社長の個人名義の土地に建っている建物を会社がテナントとして借りている場合等に使うことができます。

具体的には、社長名義の建物のみを法人に贈与、または、売却する方法です。法人名義の建物が個人名義の土地の上に建っている形になるので、原則として借地権が発生します。ただし、法人が借地権を取得したことについて金銭の授受はしません。

2.売却代金はどうするか

建物の売却価額は建物の時価ということになります。一般的には、減価償却後の簿価や不動産鑑定士の鑑定による鑑定価額が使われます。

ただし、A社はここ数年赤字続きだったため、贈与ではなく、売買で行うなら支払う資金がありません。そこで、売却代金は分割払いとし、社長の生活は分割払いを受ける金銭で賄います。当然、役員報酬の支払いはする必要がありませんので、その分、利益が計上され、決算状況は良くなります。

3.個人の側の課税関係

個人が法人に無償で借地権の設定させているので、個人の側で借地権部分に対応する譲渡所得税が発生するのではないか、と心配される方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、このような借地権の無償設定は税法上、譲渡として取り扱われませんので、課税関係は何も生じませんので、心配する必要はありません。

4.法人の側の課税関係

法人は通常であれば、権利金等を支払って購入すべき借地権をタダで手に入れた訳ですから、借地権の時価が借地権の受贈益という収益になります。

また、建物を売買ではなく、贈与で名義変更するのであれば、建物の時価相当額も合わせて受贈益という形になります。

ただし、赤字会社ですので、受贈益と過去の繰越欠損金が相殺され、税金を支払う必要はありません。

5.注意点

A社とは違い、決算上(貸借対照表上)は債務超過ですが、税務上の繰越欠損金が無い場合、または、税務上の繰越欠損金が当期の利益と受贈益の合計額よりも少ない場合には注意が必要です。

税務上の繰越欠損金は発生した年の翌年以後5年間経過後は切り捨てになります。ただし、決算上の赤字はそのまま貸借対照表上で残ります。

ですから、債務超過でもその原因となる繰越欠損金が5年よりも前のものなら、借地権等の受贈益が法人税等の対象になってしまいますので、その繰越欠損金の発生時期を確認する必要があります。

注意点