日本中央税理士法人/株式会社日本中央研修会
JCAホームJCAニュース>JCAニュース Vol.22

日本中央税理士法人/株式会社日本中央研修会のJCAニュース

Vol.22 (2003/12/5)

繰越欠損金の期限が5年から7年へ


1.改正の概要

今朝の日本経済新聞で繰越欠損金を当期の所得と相殺できる期間が5年から7年になる方向性であることが報道されました。過去に生じた繰越欠損金はそのまま5年ですが、来年4月以降に生じる繰越欠損金に関しては7年になる方向性です。

また、新聞には「不良債権処理で決算時に生じた欠損金を翌年度以降の黒字と相殺できる繰越控除制度の適用期間を現行の5年から7年に延長」と記載されていましたが、7年間控除できる繰越欠損金は貸倒損失等の不良債権処理に伴って生じたものには限定されない方向性です。

2.過去の繰越欠損金に対する対策

5年前の切り捨てになってしまう繰越欠損金がある会社は、その当時、その赤字分を社長が会社に貸し付けているケースが多く見受けられます。会社から返済される可能性の低い貸付金であれば、この際、その貸付金を放棄してしまいましょう。そうすれば、会社としては社長からの借入金が免除されるので、債務免除益という収益が計上され、繰越欠損金と相殺され、切り捨てになるはずだった部分の金額が有効に使えるわけです。

3.上記2の具体例

この会社は平成11年3月期に発生した欠損金が1,000万円で、社長からの借入金が1,000万円あるとします。また、当期は損益トントンとします。

過去の繰越欠損金に対する対策

当期の本業自体は損益トントンですから、社長から免除してもらった借入金の1,000万円は債務免除益となり、当期利益は1,000万円となります。そうすると5年前に生じた1,000万円の繰越欠損金と相殺でき、切捨てを免れるわけです。そのまま、なにもしなければ、5年前の1,000万円の欠損金は永遠に使えなくなってしまうのです。

4.放棄することのリスク

ただし、放棄することにリスクもあります。それは税務調査時に否認される事項が出たときです。

例えば、上記3の例の場合、平成16年3月期の税務調査があり、費用計上してはいけないものを300万円分費用計上していたことを否認されたとします。社長が債務免除したので繰越欠損金の1,000万円はもうありません。債務免除しなければ、1,000万円は切り捨てになっているので、300万円が否認されたとしても、切り捨てになる金額が1,000万円から700万円になるだけなのです。つまり、平成16年3月期は、放棄しなければ、1,000万円までは否認されても法人税等を納めなくてもよいのです。

5.決算を行う時の注意点

それなら、放棄しない方が得ではないかと思う方がいらっしゃるかもしれません。税金のことだけを考えたらそうかもしれません。しかし、過去の欠損金は税務上は切り捨てになったとしても、貸借対照表には残り、債務超過の原因になるのです。これでは、新規事業の展開、設備投資に伴って金融機関から融資を受けたい際の弊害にもなりかねません。リスクや今後の損益の状況にもよりますが、過去の負債は一掃し、財務体質の健全な会社としてスタートし直すことが重要なのは間違いありません。