日本中央税理士法人/株式会社日本中央研修会
JCAホームJCAニュース>JCAニュース Vol.25

日本中央税理士法人/株式会社日本中央研修会のJCAニュース

Vol.25 (2004/2/5)

不動産の売却損は通算できる?


1.税制が変わる?

昨年の12月に発表された平成16年度の税制改正の資料を見ると平成16年1月1日以降の不動産(一定の要件を満たした自宅等を除く)の売却損については不動産の売却益とは相殺できるが、他の給与や不動産の収入とは相殺できなくなる旨が書いてあります。つまり、不動産を売却し、売却損が出ても、その損の部分は切り捨てになり、源泉所得税の還付が受けられる等のメリットがなくなってしまうのです。
もちろん、まだ法律は国会で可決されていませんので100%とは言えませんが、1月1日以降の不動産の売却損は不動産の売却益としか相殺できなくなることはほぼ確実です。これでは、含み損のある不動産を持っている方は売りたくても、どうしても二の足を踏んでしまいます。

2.不動産の含み損を通算する方法

不動産の売却損は不動産の売却益としか通算できないのなら、含み益を作れば良いのです。
父親が先祖代々の土地(含み益)を持っており、息子がバブルの時に買った投資用マンション(含み損)を持っているとします。通常は父親の不動産の名義が息子に移るのは相続のときです。これを、相続を待たずに、贈与してしまうのです。そうして、両方の不動産を同じ年に売却すれば、含み損と含み益が通算され、課税される部分が少なく、または、0になります。もちろん、通常の贈与では贈与税が高いですから、2,500万円の特別控除がある相続時精算課税制度を使って贈与します。

3.具体的計算

例えば、ある地主さんとその息子さんの不動産の状況を次のように仮定します。

父親の先祖代々の土地…時価1億円
息子の投資用マンション…含み損1億円
(注)計算を簡単にするため、不動産を取得した金額等、売却に伴う仲介手数料等は加味しないこととします。

息子は父親から相続時精算課税制度を使って先祖代々の土地の贈与を受けます。相続時精算課税制度は2,500万円を超えた部分について20%の課税ですから、(1億円-2,500万円)×20%=1,500万円の贈与税を一旦、払うことになります。ただし、息子は1億円の不動産を売却し、通常であれば所得税と住民税を合わせて20%※(所得税15%、住民税5%)である2,000万円を支払わなければなりません。しかし、今回は含み損のある投資用マンションを同じ年に売却しているので、売却益が売却損と相殺され、2,000万円の納税はありません。
たしかに、一旦は1,500万円の贈与税を支払わなければなりませんが、これは実際の相続の時に精算されますので、基本的には問題ありません。しかも、実際の相続時に土地を売却したとしたら、支払わなければならない2,000万円を支払わなくてもすむのです。(※税制改正により16年1月1日以降の長期の譲渡については税率が20%になる方向性です。)

4.改正への対策について

相続であると、不動産の名義を変更をするタイミングを意図的に計ることはできません。しかし、贈与であれば別です。含み損のある不動産を売りたくても税制がカベになり、売れずにいるのであれば、思い切って生前贈与を受けてはいかがでしょうか。