日本中央税理士法人/株式会社日本中央研修会
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Vol.29 (2004/4/8)

贈与する前によ〜く考えよう


1.今年の印象深い確定申告

今年の2月の終わりに初老のAさんが確定申告の相談で、「自宅の建物と土地を昨年10月に隣人のBさんにどうしてもと言われて売却し、その代わりにBさんが所有している駅前の更地をもらいました。お金の授受がない交換なので、確定申告の必要はありませんか?」と聞きにいらっしゃいました。交換の特例を利用するためには確定申告が必要なこと、建物と土地の交換は税制上認められないため、建物は売却として取り扱われることを説明しました。

2.売却後の住まいは賃貸マンション

ところが、よくよく話を聞いてみますと、以下の4点のことが分かってきました。1.土地は昭和38年に購入して名義はAさんであるが、建物は5年前に配偶者の特例を使って贈与して妻名義だったこと、2.Bさんに売却すると同時に既に新しい賃貸マンションに移り住み、駅前の土地は駐車場として貸し付けていること、3.また、近い将来、既に退職したAさん夫婦の生活費等を捻出するために売却する可能性が強いこと、4.Aさんの土地はBさんにとって隣地のため利用価値が高いが時価は5000万円、Bさんから貰った土地は時価で1億円にもなり、差額が大きいので心配だということ。

3.税金

私は「確定申告では土地の交換の特例を利用せずに居住用財産を売却したときの3000万円の特別控除を利用しましょう。通常は、建物に名義がないAさんは3000万円の特別控除が使えません。しかし、今回のように土地と建物を一緒に売却するなどの一定要件を満たした場合には、Aさんの売却益からも3000万円を控除できるのです。」と提案しました。一方、妻名義の建物は古く、売却益が発生しない状況でしたので3,000万円の控除を使う余地はありません。

交換の特例を利用しない理由はAさんが近い将来駅前の土地を売却した場合、交換した土地をすぐに売却したとして交換の特例が使えず、売却益に対して39%もの税金が課税されるからです。そこで、3000万円の特別控除を活用して確定申告をし、所得税等を納税することになりました。一方、Bさんは交換の特例を利用できるため所得税等は発生しないことを説明しました(第三者同士は交換をするに至った事情等から判断して、合意された価額が合理的と認められれば問題ありません。一般的には高い方の時価の20%以上の差額があると交換の特例は使えません)。

4.5年前の贈与

確定申告としては上記の選択肢が最も良いと考えられます。しかし、実は5年前、妻に建物の全部のみを贈与したことは大きな失敗でした。

土地も贈与し、建物の持分は10分の1でもよいので少しの持分を贈与しておけば、今回の売却で妻も3000万円の控除の特例を使うことができました。また、土地の一部が妻の名義になっているため、Aさんの税金ももっと安くなったはずです。配偶者に対して2,000万円控除を使って自宅を贈与するときは将来、売却する可能性も考えて実行しないと損をすることになりますので、慎重に行ないましょう。