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Vol.30 (2004/4/20)

賃貸マンションを贈与する方法


1.賃貸マンションを贈与するなら

不動産オーナーが所得税及び相続税対策のために賃貸マンション等の収益物件の建物を子供(相続人)に贈与することがあります。この贈与に関する注意点が先日、国税庁から発表されましたので、今回はこの贈与について考えてみましょう。

2.贈与する場合の注意点

通常、賃貸物件を所有するオーナーは借家人から敷金等の預り金があります。つまり、オーナーにとっては返すべき負担です。単純に建物のみを贈与すると、建物(資産)と敷金の返還義務(負担)が子供(相続人)に移転します。具体例で考えてみます。

前提条件
5,000万円でアパートを建築。賃貸した後、子供に贈与。敷金総額は100万円
◎父
100万円について譲渡税が課税されます。
◎子供
5,000万円と100万円の差額の4,900万円に対して贈与税が課税されます。
通常で言えば4,900万円の贈与だと贈与税は2,170万円になります。
2,500万円の控除がある相続時精算課税制度を利用したとしても贈与税は480万円になります。

3.なぜこのようになってしまうのか

建物という資産と敷金の返還義務という負担を同時に贈与した場合には税務上「負担付贈与」という取り扱いになります。これに該当すると贈与税の計算対象となる金額は相続税評価額(※1)ではなく、相続税評価額よりも高い時価になってしまうのです。さらに贈与した父の側では敷金相当額が譲渡となってしまうのです。

※1 通常の贈与税対象となる金額=相続税評価額

4.そうならないようにするためには

何かいい方法はないでしょうか。方法は簡単です。敷金相当額の現金も子供に贈与すれば良いのです。そうすれば、子供は敷金の返還義務はありますが、実質的な金銭的負担はありません。そうすれば、「負担付贈与」ではなく、通常の贈与になりますので、贈与税の計算対象となる金額は時価ではなく、相続税評価額になるのです。この場合の贈与税はどうなるでしょうか。同じ条件で考えてみましょう。

◎父
何も課税はされません。
◎子供
5,000万円×70%×(1-30%)=2,450万円の贈与。
通常で言えば2,450万円の贈与だと贈与税は945万円になります。相続時精算課税制度を利用すれば2,500万円以下なので、贈与税は0になります。
※2 贈与税の対象となる金額は建築資金の約70%になります。
※3 賃貸している建物は借家人の権利として30%を控除します。

5.サブリース(転貸)をしていると

さらに贈与時と相続発生時の借家人が同じだと、贈与後も父の土地は貸家建付地という低い評価の土地になります。ただ、実際の借家人は入れ替わるので、サブリース(転貸)を採用して、贈与時と相続発生時の両時点の賃借人をサブリース会社ということにし、個別の借家人はサブリース会社から賃貸を受けることになります。

一見、単純な収益建物の贈与ですが、実は税務の問題が複雑に絡み合っています。実際に行なう際には慎重に行なわないと、思わぬ税金がふりかかってくることになりますので、注意が必要です。