日本中央税理士法人/株式会社日本中央研修会
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Vol.43 (2005/4/25)

新株予約権を発行してみよう


1.はじめに

先月1ヶ月間は、お茶の間のテレビから、新株予約権という言葉がよく流れていました。株と同じようなものだろうと考えた人も多いはずです。しかし、株式とは少し違います。では、この新株予約権とはいったい何でしょうか。

新株予約権とは、それを発行している会社の株式を初めから決まっている価格で購入できる権利のことです。例えば、ある上場会社が自分の株式を1株1万円で購入できる新株予約権を発行しました。その5年後に、その会社の株価は3万円に上がりました。この時、新株予約権を持っている人が、権利を行使して1万円で買った株式をすぐに市場で売れば、1株で2万円も儲けることができます。もちろん、儲かった分に対して税金はかかります。

2.ストックオプションとは

ストックオプションという言葉もよく聞くと思います。ストックオプションとは、その会社や100%子会社の役員、社員に対して発行する新株予約権のことです。このストックオプションと新株予約権は何が違うのでしょうか。

50名以上(6ヶ月以内という制限はあります。)もの個人又は会社に、紙くずになるかもしれない新株予約権を販売すれば、将来大きな騒ぎになる可能性があります。そこで、証券取引法上では、50名以上を勧誘する会社は何十枚もの詳細な決算書を作り、政府に届け出るのです。この決算書は公表されます。もちろん、この決算書の内容は難しく、作成に大変な労力が必要となります。

では、50名以上の社員がいる会社はどうすればよいのでしょうか。つまり、福利厚生の一環で新株予約権を社員に与えたいのに、大変な作業が発生してしまうのはおかしな話です。また、社員であれば、将来紙くずになっても騒ぐこともありません。そこで、社員や役員に付与する新株予約権はストックオプションと呼び、証券取引法の規制外としたのです。つまり、50名以上の社員に新株予約権を与えても、どこにも決算書を提出する必要はありません。

3.無償?有償?

先ほど、新株予約権を販売と書きましたが、「あれ?タダじゃないの。」と考えた人もいるはずです。確かに、ストックオプションは無償で発行するのが通常です。多分、それと勘違いしているのです。通常、新株予約権は有償で発行します。例えば、先ほどの1万円で株式を購入できる新株予約権を3000円で発行すれば、行使時に7000円の払込みとなります。つまり、発行時と行使時の金額を合わせて、実際の新株予約権の金額が決定されるのです。また、新株予約権は取引先などの法人に対しても発行できます。

4.いくらに設定

では実際に、この「発行時の価格+行使時の払込み価格」の合計金額はどのように決定すればよいのでしょうか。

基本的には、新株予約権発行時の会社の株価と同額にします。しかし、非上場会社の場合は、証券市場がないので株価がわかりません。そこで、会社が保有する固定資産などをすべて時価評価して、純資産価額を算定します。その価額を発行済株式数で割って1株当たりの株価とする会社が多いようです。なお、新株予約権の価格がその株価よりも相当下回った場合でも、法律違反ではありません。ストックオプションでも同様で、税務上の特例を受けることができなくなるだけで、違法ではありません。ただし、社長やその親族などに安い価格で新株予約権を与えると贈与税が課税されることもあり、注意が必要です。

5.発行すべきか否か

貴方の会社がベンチャー企業であれば、ストックオプション(新株予約権)は社員に対して、どんどん発行すべきです。ベンチャー企業は資金力がなく、社員に対して十分な給与が支払えません。もちろん、営業マンには歩合制の部分を大きくしますが、それだけで十分とはいえません。会社が上場しない場合でも、無償でもらった権利を行使しなければ、社員は損しません。逆に、上場すれば、大きな収入がもらえるのです。つまり、リスクはゼロで、リターンだけ限りなく大きい可能性があるのです。仕事内容や会社の将来性だけでなく、お金でも、社員の「やる気」を引き出しましょう。

今月のまとめ