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Vol.51 (2006/5/15)

新会社法で株式の分散を防ぎましょう


1.株主はまとめましょう

ほとんどの中小企業では株主が株式を勝手に売買することができません。このような会社を「株式譲渡制限会社」と言います。なぜ株式譲渡制限会社にしているのでしょう。それは勝手に売買されると知らない人が会社の経営に口を出す権利をもつからです。

したがって、中小企業には株主が複数いることはあまり好ましくありません。

2.兄弟2名が株主でも

兄が社長、弟が専務の会社でも株主が分散してしまう可能性はあります。

今は兄弟仲良く会社経営をしていても2代、代変わりした状況を考えてください。

2代、代変わりしたとき、一番左の孫が経営者、一番右の孫が単なる株主で経営に関係のない人とします。
つまり、「おじいちゃんの弟の孫」が株主になってしまうのです。

大人になっても「この2人」に付き合いがあるでしょうか。私の場合には、そのような親戚の名前さえも知りません。

今は株主が兄弟2人でも、将来的に他人のような人に経営に口を出される可能性が生じる状況を作っているのです。

3.どうやって対策するのか

兄弟で持っている株式をまとめる方法として次のような方法があります。

1.弟から兄に贈与または売却する
2.弟が遺言を書き、弟の株式が兄(又は兄の相続人)に渡るようにする。

ただ、優良会社であれば、株価が高いので贈与したら贈与税が多額になります。売買にしても個人としての負担が大きくなります。遺言に書いてもらうのは微妙な問題になるので、言い出しにくいですよね。そこで、分散前に対策する方法が考えられるのです。

4.分散前に対策しましょう

5月1日に新会社法が施行され、新たな株式の分散対策が設けられました。

それは、株主に対して会社が売渡請求を求めるという方法です。

新会社法の施行前までは譲渡制限をつけていたとしても、相続が発生すると株主が分散してしまうリスクがありました。会社にとって好ましくない人が株主になってしまうこともありました。

そこで新会社法では、相続により株式を取得した相続人に対して、会社が売渡請求をすることができるようになりました。ただし、あらかじめ定款に定めておく必要があります。例えば次のように定めることになります。

第○条
当会社は、相続その他の一般承継により当会社の株式を取得したものに対し、当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。

これにより会社の経営にとって好ましくない相続人が株式を保有するリスクを解決できます。

なお、株主は売渡請求を拒否することはできません。

また、この売渡請求は相続に限定されず、合併などにより株式を取得した場合にも適用することができます。

5.具体的な手続は

会社が、相続人に対して株式の売渡請求をするには、その都度株主総会の特別決議が必要になります。特別決議とは株主の過半数が出席し、かつ、3分の2以上が賛成することです。当然、その売渡の対象になっている株式を所有している株主は、決議に参加できません。この特別決議により、相続人の意思に関係なく強制的に株式を買い取ることが可能となります。

また、会社が売渡請求できるのは、相続があったことを知った日から1年以内です。なお、会社はいつでもこの売渡請求を撤回することができます。

そして、株式の売却価格は双方が合意すれば、その価格で問題ありません。ただし、双方の協議が得られなければ、売渡請求日から20日以内に裁判所に申立てを行います。そして、裁判所が売買価格の決定をします。この20日以内に申立てを行わない場合には、相続人が株主になってしまいますので、注意が必要です。

6.売渡した株主のメリットは

株式の売渡請求に応じた相続人にもメリットがあります。それは、譲渡した利益に対する税金が20%(所得税15%、住民税5%)で完結するのです。また、相続発生から3年10ヶ月以内であればさらに税金が安くなる特例もあります。

会社の株主名簿を見ると既に亡くなっている人が株主になっている会社もあります。相続の問題はいつ発生するかわかりません。問題が大きくなる前に早めに定款の変更を検討しましょう。